泌尿器科
概要(対象疾患と診療内容)
泌尿器科では腎臓、副腎、尿管、膀胱、前立腺、尿道、精巣、陰茎など尿路性器全般に対する手術、抗癌剤治療などを扱っています。また腎不全患者さんの治療に関しては慢性腎不全、急性腎不全治療から末期腎不全治療および透析を行っています。腎移植に関しては、当院では対応していません。初期治療および情報提供を行った後に岩手県内の腎移植施設(岩手医科大学附属病院)へ紹介を行っています。
(※当院では、維持透析患者の受入は行わず、旅行者への透析は実施しておりません。)
泌尿器科で扱う臓器
- 副腎・尿路(腎・尿管・膀胱・尿道)
- 男性生殖器(前立腺・陰茎・精巣・精管・精巣上体など)
泌尿器科で扱う疾患
- 腫瘍:腎癌、腎盂・尿管癌、副腎腫瘍、膀胱癌、尿道癌、精巣腫瘍、後腹膜腫瘍など
- 尿路感染症:膀胱炎、腎盂腎炎、精巣上体炎、前立腺炎、亀頭包皮炎など
- 排尿障害:前立腺肥大症、神経因性膀胱など
- 腎・尿管・膀胱結石
- 慢性腎臓病、急性腎障害、末期腎不全
- その他:陰嚢水腫、精索捻転、包茎など
主な対象疾患
1 泌尿器悪性腫瘍 2 排尿障害 3 尿路結石 4慢性腎臓病・透析
2025年手術・処置件数
当科は主に経尿道手術、開腹手術、体腔鏡手術などを中心に岩手中部医療圏唯一の泌尿器科手術・前立腺生検可能施設として、医療圏内ほぼ全域と近隣の一部をカバーしています。
当科の特色は、悪性腫瘍に対する手術以外にも前立腺肥大症、尿路結石など泌尿器科疾患以外にも、末期腎不全(血液透析・腹膜透析)に対する手術なども幅広く行っている点です。
前立腺癌は男性の癌罹患率が第一となり、当院でも年間130名を超える方が新たに前立腺癌と診断されています。前立腺癌に対しては、主に手術、放射線治療、薬物治療が選択となり、当院ではいずれの治療にも対応しています。
- 手術:当院ではロボット機器がないため従来の開腹術を提供していますが、ロボット支援下手術を希望される方には岩手医科大学附属病院、岩手県立胆沢病院などへ御紹介しています。
-
放射線治療:当院では約半数の方が放射線治療を選択されます。特に現在は前立腺癌放射線治療の合併症を低減するためのハイドロゲル直腸周囲スペーサー留置術を行いますが、当院は放射線治療の件数に比例し、同処置も県内有数の件数となっています。
-
前立腺癌に対する根治術の重症尿失禁はわずかですが一定数発生します。それに対する治療のgold standardは人工尿道括約筋埋め込み術となっていますが、人工尿道括約筋埋め込み術実施施設は少なく、当院は岩手県唯一、東北でも数少ない人工尿道括約筋埋め込み術を常時提供施設です。
| 手術名 | 件数 |
|
前立腺生検 |
205 |
|
経尿道的膀胱腫瘍切除術 |
120 |
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経尿道的結石破砕術 |
95 |
|
前立腺ハイドロゲル直腸周囲スペーサー留置術 |
64 |
|
前立腺肥大症に対する手術(TURP/WAVE) |
25 |
|
腹膜透析に対する手術 |
23 |
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血液透析に対する手術(内シャントなど) |
20 |
|
恥骨後式前立腺全摘除術 |
14 |
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包茎・陰のう水腫・精巣捻転など |
11 |
|
人工尿道括約筋埋め込み術(2024年~) |
8 |
|
腎尿路悪性腫瘍に対する開腹・体腔鏡手術 |
7 |
|
開腹膀胱全摘術 |
2 |
スタッフ紹介
| 氏 名 | 伊藤 明人 (いとう あきと) |
|---|---|
| 職 名 | 第1泌尿器科長 |
| 卒業年 | 平成23年 岩手医大卒 |
| 専門領域 | 泌尿器科全般、慢性腎臓病治療、透析療法 |
| 学会資格等 |
日本泌尿器科学会(専門医、指導医)、日本がん治療認定医機構(認定医)、日本透析医学会(専門医)、日本腹膜透析医学会(認定医)、日本急性血液浄化学会(認定指導医)、腎代替療法専門指導士、日本腎臓リハビリテーション学会、日本泌尿器内視鏡学会、日本腎臓学会、日本癌治療学会、日本緩和医療学会(緩和ケアの基本教育に関する指導者研修会履修) |
| 氏 名 |
井藤 練刀(いとう れんと) |
|---|---|
| 職 名 | 泌尿器科医長 |
| 卒業年 | 令和3年 福岡大卒 |
| 専門領域 | |
| 学会資格等 | 日本泌尿器科学会 |
| 氏 名 |
佐藤 太一 (さとう たいち) |
|---|---|
| 職 名 | 泌尿器科医長 |
| 卒業年 | 令和4年 昭和大卒 |
| 専門領域 | |
| 学会資格等 | 日本泌尿器科学会 |
| 氏 名 |
紺野 成顕 (こんの なりあき) |
|---|---|
| 職 名 | 泌尿器科医長 |
| 卒業年 | 令和4年 岩手医大卒 |
| 専門領域 | |
| 学会資格等 | 日本泌尿器科学会 |
どんな検査をするのですか?
泌尿器科を受診するとどんな検査をするのですか?
泌尿器科外来にいらっしゃると…
- 問診表に受診した理由、症状、今までにかかった病気など記載して頂きます。
- 尿をとって頂きます。(尿の性状を調べます。)
- 血圧測定をして頂きます。
- 症状によってはレントゲン写真を撮ってから診察になります。
診察時に必要に応じて検査が行われたり、検査の予約を取ります。
- 触診、視診、聴診など
- 直腸診(肛門から指を入れ、前立腺の大きさや固さをみます。)
- 尿培養(膀胱炎などの尿路感染症の原因となっているバイ菌を調べます。)
- 尿細胞診(尿の中にがん細胞が混じっていないか調べます。)
- 尿流量測定(尿の勢いや排尿にかかる時間などを調べます。)
- 超音波検査(超音波で腎臓、膀胱、前立腺などに形態的異常がないか調べます。残尿の確認もできます。)
- 腎尿管膀胱部単純撮影(尿路結石や異常な石灰化の有無、骨の形態などをみます。)
- 排泄性尿路造影(造影剤を注射し、尿路の形や流れをみます。)
- 逆行性尿道造影(尿道から造影剤を注入し、尿道の狭窄や前立腺による尿道の圧迫などを調べます。)
- 膀胱鏡検査(尿道から内視鏡を入れて膀胱内の状態を観察します。)
- CT、MRI(緊急時以外は予約になります。)
- 骨シンチ、レノグラム、腎シンチ(予約になります。)
- 血管造影(当院の放射線科に依頼します。)
- その他外来または入院にて検査を行う場合があります。
- 前立腺生検:前立腺の組織を取ってがん細胞がないか調べます。2~3日入院して行います。
こんな症状があったら
こんな症状があったら泌尿器科を受診してください。
- 健康診断や人間ドックで血尿(尿潜血)を指摘された。
- 前立腺がん検診で前立腺特異抗原が高いと指摘された。
- 肉眼的血尿(まっ赤なおしっこ)が出た。
- おしっこの回数が多い。
- 排尿時に痛みがある。
- 残尿感がある。
- おしっこが出にくい。
- 尿が出始めるまでに時間がかかる。
- 排尿に時間がかかる。
- おしっこの勢いがない(弱い)。
- 夜中に何回もトイレに起きる。
- 重いものを持ったとき、咳やくしゃみをしたときに尿が漏れる。
- 側腹部、右または左の背部の痛みがある。
- 陰嚢がはれてきた。
- 勃起しなくなった。
- 2年間以上子供ができない。…など
慢性腎臓病に対する療法選択外来
慢性腎臓病に対する療法選択外来の実施
当院では週1回水曜日午後に療法選択外来を実施しております。
対象は、慢性腎臓病の患者さんで、3ヶ月前までの直近2回のeGFR(mL/分/1.73m2)がいずれも30未満の場合で、今後保存的腎臓療法および腎代替療法が必要と予測される患者さんです。
これらの患者さんに対する治療方針の検討は、適切な時期に時間をかけ理解を深めるために丁寧に進めることが重要です。
当院では、認定を持つ医師・看護師により血液透析、腹膜透析、腎移植等の腎代替療法を説明しております。また、管理栄養士による栄養指導、歯科衛生士による口腔内指導、腎臓病教室なども行っておりますので、ご興味のある方は外来Dブロックまでご連絡ください。
なお、紹介の際はかかりつけ医からの腎臓内科あるいは泌尿器科宛の紹介状が必要です。
岩手県立中部病院
院長 川村 英伸
第1泌尿器科長 伊藤 明人
透析室
透析室へようこそ
透析室では医師4名、専任看護師5名(常時3~4名)で業務にあたっております。
スタッフ: 医師(3名:泌尿器科兼務)、看護師長(1名)、主任看護師(2名)、看護師(2名)
透析室では通常の血液透析のほか限外濾過、血液濾過透析、血液吸着法、腹膜透析など行っています。
透析用コンソール10台(HDF対応可10台)
- 夜間の維持透析:対応不可
- 旅行透析:対応不可
- 腹膜透析:対応可能(使用メーカーの問い合わせが必要です。)
当院は日本透析医学会、教育関連施設に認定されています。また当施設では、日本腎臓リハビリテーションガイドラインに従った腎臓リハビリテーションを提供しています。(腎臓リハビリテーションガイドライン講習会に医師、看護師共に受講済)
※透析に関するお問い合わせは透析室または泌尿器科外来へ
末期腎不全患者への緩和ケアの提供
末期腎不全患者への緩和ケアの提供を実施しています
2023年度末の国内の慢性透析患者の総数は343,508人(人口100万人当たり2,762.4人)です。平均年齢は70.09歳と年々高齢化し、死亡者数も38,073人、粗死亡率11.0%と増加傾向を示しております。
当院は岩手中部医療圏において導入期、急性腎障害、透析患者の終末期の総合的な受け入れ先であると同時に、緩和ケア常勤医・緩和ケア病棟を有していることから、2020年7月より院内倫理委員会(中部病倫第2-9号)および診療情報管理委員会の承認を受けた上で泌尿器科・緩和ケア科共同で末期腎不全患者への緩和ケアを提供して参りました。
国内においては、日本透析医学会は2014年に「維持透析の開始と継続に関する意思決定プロセスについての提言」を発表し、2020年に腹膜透析および末期腎不全患者、急性腎障害の血液透析導入患者も対象とした改訂を行っております。また、2025 年 9 ⽉に⽇本緩和医療学会・⽇本腎臓学会・⽇本透析医学会の3学会により「腎不全患者のための緩和ケアガイダンス」が発表されております。
今後も、関連学会の指針に従い、末期腎不全患者への緩和ケアを提供して参ります。